吉村芳生 超絶技巧を越えて@東京ステーションギャラリー
こんにちは。仙です。
急に寒くなりましたね。早速冷えでお腹壊しました。面目ない( ̄▽ ̄;)。
さて今回は東京ステーションギャラリーで開催中の「吉村芳生 超絶技巧を越えて」です。
前回の横山崋山のときに告知ポスターを見て、面白そうかな?と思ったので来てみたのですが、実際面白かったです。
皆さん、 吉村芳生さんってご存知ですか?今回が東日本で初めての回顧展なのだそうです。一口に超絶技巧と言いますが、この方は写実性をとことん追求した結果、技巧が難易度高くなってる感じ。
そして彼の作品は大まかに言って、3つの枠に分類される印象です。
1.自画像
2.新聞紙の写生
3.美しい花をカラフルに色鉛筆で描いた絵
もちろん他の画題もあるし、2つのテーマに跨った作品もあります。
そして、超絶技巧と言うか、キャプションに書いてある作成方法が恐ろしく手間のかかる緻密な技法なのです 。
例えば、作品番号24「ジーンズ」というのは、写真に写したジーンズを鉛筆の細密画で描いているのですが、その作成過程は以下の通りです。
- ジーンズをモノクロ撮影し、84cm× 59cmになるように写真を引き伸ばす。
- いつで用意した鉄筆で2.5×2.5mmの枡目を引く。
- 各枡目の濃度を 10段階に分け、濃度に応じて0から9までの数字を枡目に書いていく。
- 写真と同じサイズの方眼紙を用意して、2で書いた数字を書き写していく。
- 方眼紙と同じサイズの透明フィルムを上から重ねる。
(※展示室内のリーフレットより)
といういい意味で頭がおかしい制作過程を取っていらっしゃったようです。
私は吉村さんのいろんな作品の中でも「ドローイング 新聞 ジャパンタイムス」っていう若いころの作品が好きでした。
新聞紙の写生なのですが、制作当時の「ジャパンタイムス」の紙面を、確か刷りたてのものをプレスをかけて金属にインキを転写し、それを紙にうつす、という作業を行い、いい感じに薄くなった紙面を鉛筆でひたすら模写するっていうかなり頭おかしい工程を経ている作品です( ̄▽ ̄)。この作品が小さめな展示室の壁の四方に展示されてるのを見ると、怖い怖い怖い。生理的に怖い。作品中に自分を全く出していないのが意味わからなくて恐ろしいです。 でもその意味のなさがとても素晴らしいと思います。わけわかんないもの見るのが好き。
鉛筆で模写した新聞。ポスターを接写してみた。手描きって・・・
花の絵はね、膨大な手間をかけてファーバーカステルの色鉛筆でとても美しい着色が施されています。香りや存在感が伝わってきそうな美しさ。でもなんか花って、実際花びらの一枚一枚に少しずつ違いがあって、それが視野を広く持つと集団での美しさに繋がってる気もするし、 見てる時の楽しさとしては弱めだけど、自分の家に飾れるならこれがいい。実際ポスカ買いました。とにかく美しいです。
そして自画像は若い頃に365日の自画像を9年間という膨大な時間をかけて制作しているのですが、やはり日によって微妙に表情が違っていて、じっくり見ていると面白いです。自画像ジャンル自体好き。
作家が年齢を重ね、特に東日本大震災以後は新聞紙の模写に自画像をのっける作品が多い(ポスター等参照)のですが、これはほとんど日本語の新聞なので(日経とか)つい読んでしまうやつ・・・。自画像の表情との相関は考えればいくらでも深く掘れます。
というわけで、凡人の理解の範疇を超えた鬼気迫る作品に出会えると思います。結構おすすめなのです。入館料900円だし。1月20日まで東京駅の東京ステーションギャラリーでやってます。 次は「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」だそうです。これも来よう。
公園では歩いていると銀杏の匂いがするようになりました。そろそろ秋が深まって紅葉が美しいですね。ここは北の丸公園。
お濠はいいところ。鳥も安心しています。
んじゃまた!