夏の渋谷を徘徊(みんなのミュシャ ミュシャからマンガへー線の魔術@Bunkamura ザ・ミュージアム&華めく洋食器 大倉陶園100 年の歴史と文化@渋谷区立松涛美術館&浮世絵ガールズ・コレクション―江戸の美少女・明治のおきゃん―@國學院大學博物館)
こんにちは。仙です。
今回は夏の渋谷を徘徊(本格的な夏になる前に)という主旨で出歩いてます。
まずは東急本店のお隣・Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへー線の魔術」です。
去年のスラブ叙事詩と違って小さめな作品が主です。
なんていうかな、ミュシャって優秀なイラストレーターなんだなって感じの印象が大きい展示ですね・・・自分がイベンターとかの注文主だったら絶対ミュシャにポスター発注したい!、みたいな。何か革新的でアーティスティックっていうのではないんだけど、バランスが絶妙で美しいんですよね。美は調和に宿るっていうもんね。
あとは後半で(主に)日本の漫画家さんのミュシャについてのインタビューと作品がけっこう多めにあったよ。やっぱり少女漫画家さんが多いかな。みなさん流麗ですよね。たぶんいると思ってた浦沢直樹先生はいなかった・・・。
ということでみんな楽しめそう。夏休みにどうぞ。でもすでに混んでるよ。9月29日まで。
次は近くの松涛美術館。「華めく洋食器 大倉陶園100 年の歴史と文化」です。
最初に言っておきます。混んでた。マダムでいっぱいだった。大倉好きなんですねぇ、マダムの皆さん。でもみんな美しくて見てると贅沢な気分になれるよね。わかるー。
皇室のお誂え食器とかもたくさんありました。現在の上皇ご夫妻のお誂えになったものが多いです。私は昭和天皇在位50周年にご献上になったヒドロ虫目呉須が好きでした。清楚。青と白の比率に大倉っぽさが出てる。
あとは陶器のフィギュアが興味深かった。兵士のフィギュアとか何のために作ったんだろう?戦意高揚なら陶器じゃないほうが。あのつるつるは戦意を削ぐ気がします。動物は文句なくどれもかわいい。あこがれの職業・原型師。プラモや食玩だけじゃないのね。
ということでけっこうおすすめですがもう終わりなのね。7月28日まででした。
次は國學院大學博物館で開催中の「浮世絵ガールズ・コレクション―江戸の美少女・明治のおきゃん―」です。
うーん、かわいかった。国芳も芳年もよいです。あとは好みの話。
これはヘアメイクのムック本。
いろいろ楽しめるような工夫もされてる展示です。イベントとかもあるのでぜひ。
8月25日まで。
実は「高倉家調進控―近世の上皇さまの御召し物―」が目当てで行きました。近世上皇の装束がみられて興味深かったです。特に後桜町上皇の控裂とか。女性ですもんね。これは展示終了済み。
あとは「覇者たちの中世」。松永久秀の直筆書状出てた!よかったです。
どれもよかったです。夏は涼しいミュージアムがいいよね。んじゃまた。
スペインの現代写実絵画 バルセロナ・ヨーロッパ近代美術館(MEAM)コレクション@ホキ美術館とその隣の昭和の森に行ってきた
こんにちは。仙です。
暑くなりましたね。今年はどういう夏になるでしょうかね・・・。
さて、今回は遠出しました。ホキ美術館。知ってます?日本初の写実絵画専門美術館です。保木将夫さんという方が創設しました。今の館長は娘の博子さん。外房線の土気駅が最寄りです。東京から確実に1時間はかかる・・・車あれば車で行ったほうがいい気もする。
今の企画展は「スペインの現代写実絵画 バルセロナ・ヨーロッパ近代美術館(MEAM)コレクション」です。スペインといえば写実だそうですよ奥さん。ご存知でしたか?
内容もよかったですよ。常設の日本の作品と対比させてみると、何か国民性違うなと思う。日本のほうが水っぽいと思う。いろんな意味で。何かさらさらしてる・・・。
私はスペインの現代写実絵画、好きです。宗教と政治テーマのが意外と目立つ。
常設展もよかったよー。いろんな部屋(ギャラリー)があるんですが、ギャラリー8ではホキ美術館の代表画家14人が自由なテーマで自らがもっとも描きたい作品を100号以上で描きます。作品の横のスピーカーからは画家の制作意図や制作エピソードなどを聞けます。
いちいち聞いてみたんだけど、基本ひとことふたことではなく、長い。長いよー、こんなに言いたいことあるんだぁ、と思うくらい長い。
SFっぽい裏設定を延々と説明してくれたりするのは興味深いです。あれは作品だけ見たんじゃ、「何かアニメっぽいなー」くらいの感想しか持てないけど、これを聞くと設定の細かさに驚きます。あとは何か抽象的なことを延々と述べる人もいます。「えー、本当にそういうことが言いたいの?」と聞いてみたいような・・・。
私は島村信之さんの「夢の箱」っていうカブトムシとクワガタの標本箱を描いた作品が好きでした。解説も何か正直っぽくて。正直なのが私のストライク。
施設はすごくきれいでよかった。面白かった。床はゴムチップでできてるそうです。何か絶妙な弾力があり・・・たぶん車椅子とかで回っても快適な感じです。あとレストランが美味しいらしい。入らなかったけど。
庭はほとんどないですが、すぐそこが昭和の森公園。借景として考えれば贅沢。いろんな鳥のさえずりが聞こえます。ちょっと行ってみましょう。
でもあんまりにも広大なので入り口近くのレンタサイクル屋で自転車借りました。代金200円。2時間だったかな。
大きすぎて歩くと疲れる&迷うけど、サイクリングロードに沿って走れば大丈夫です。雨だとこの手は使えないけど。
謎のキノコとかもある。
虫や鳥も近寄ってもあんまり逃げない。
いいところです。
でも昭和も遠くなりましたね。平成の森もできないかしら。やっぱり東北あたりで風光明媚でアクセスがまあまあよくて広大な土地があって・・・近隣に特色ある美術館もほしいよね。うーん・・・むずい・・・
というわけでホキ美術館はよいところでした。「スペインの現代写実絵画 バルセロナ・ヨーロッパ近代美術館(MEAM)コレクション」は9月1日までやってます。夏休みに行ってみると楽しいかも。
夏休みはどういう予定ですか?私はいろいろあって未定です・・・つらみ・・・
んじゃまた!
特別展 日本の素朴絵ーゆるい、かわいい、楽しい美術@三井記念美術館&メスキータ展@東京ステーションギャラリー
こんにちは。仙です。
今回はまず三井記念美術館で開催中の「特別展 日本の素朴絵ーゆるい、かわいい、楽しい美術」です。
これ楽しかったです。たぶん夏休み向けコンテンツ。毎年妖怪展みたいのやってるよね。
この展示、作風としては蛭子さんのマンガからエログロや邪悪さを抜いた感じのやつが多い気がする。でも素朴絵と一口に言ってもおおまかに2タイプある。
- 訓練とかまったく受けてない市井の人が描いた絵
- プロかそれに準じた人がウケを狙って?描いた絵
最後の展示室の「知識人の素朴絵」の章には仙厓義梵とか尾形乾山とかのビッグネームもあるけど(さすがにタッチが流麗)、前の展示室の絵巻物とか絵因果経とかは作者の名前が前面に出てない本当の素朴絵。こういう言い方どうかなとも思うけど、やっぱりかわいいです。おじさんとかもニコニコしながら見てる。高確率で。こういう隙のある未完成な感じが日本人は好きだよね。アイドルとか好きだし。
でもね、妖怪展っぽいところもあって、オカルトっぽい題材の作品もけっこうあります。私の一番のツボは神社姫。姫?顔が成人男性なのに姫なの?みたいな。
キャプションを読んだら特徴はそのまんま「件(くだん)」です。件っていうのは歴史に残る大凶事の前兆として生まれ、数々の予言をし、凶事が終われば死ぬという(Wikiより)人面牛身の妖怪のです。神社姫はそれが人面龍身なのです。実はくだんの元ネタらしい。その姿絵なのですが、けっこう眼が離せない魅力があります。個人的に。
ちなみに小松左京の件をテーマにした小説「くだんのはは」は私的に最高にバッドエンドな小説です。怖い話。
あとは絵巻物の異類婚姻譚とかも絵巻物に多いよね。かわいいスズメとかおさるとかに惑わされがちだけど、よくよく考えるとあれは高貴な人と無理に結婚した人を戒めるっていうか、身分制のあった時代に庶民に「分をわきまえた生き方をしなさい」って忠告してるのかなと思う・・・。けっこう怖い話。
あとはつきしまかるかやとかだけど、これは日本民藝館とかで見たことある。これもよく考えると怖い話。特にかるかや。これは妻子(妻は妊娠中)を置いて失踪し、出家する男の話。意外と日本美術には妻子を置いて出奔する父親とか出てきますよね。主人公は成長して最終的に自分を探し当てた息子と親子の名乗りを交わさぬまま同月同日に死ぬという血縁って恐ろしいものだねという話です。なかなか怖い話。
だから総論としてこの展覧会はかわいくて怖い感じかな。面白いです。時間があればぜひ。9月1日までやってます。
階下ではホンマタカシさんの三井本館の写真展もやってる。
次は東京ステーションギャラリーでやってる「メスキータ展」。
この人のことは勉強不足で知らなかったんですが、エッシャーの師匠でデザイナーとしても活躍した人。ユダヤ人だったので1944年に強制収容所で亡くなったんだそうです・・・。
私はデザインの仕事がいいと思ったな。版画は日本の浮世絵の影響を受けてるそうですが、私は黒と白のバランスがヴァロットンを思い出した。
あとは植物と動物。無意識を描いたと言われる絵も。自分の無意識のヴィジョンとは違いますが、人の不安を掘り起こす感じでよいです。
面白かったです。興味を持った方は行ってみてもよいのではと思います。
8月18日まで。
今年は涼しいけど、いったん夏になるとけっこう暑くなりそうで心配です。暑いときは美術館がいいよね!んじゃまた!