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基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

高地に暮らす人々の毛織物ー中国(イ族)、チベット、ブータン、インド北部@岩立フォークテキスタイルミュージアム&ウインザーチェアー日本人が愛した英国の椅子@日本民藝館

こんにちは。仙です。台風の被害、心配ですね・・・。
今回は岩立フォークテキスタイルミュージアムで開催中の「高地に暮らす人々の毛織物ー中国(イ族)、チベットブータン、インド北部」日本民藝館で開催中の「ウインザーチェアー日本人が愛した英国の椅子」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"。

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ボリューム的に2展いっしょに。ていうか、この2館は系統がいっしょです。なんか割引券とか相互においてあるし。

 

まずは「高地に暮らす人々の毛織物ー中国(イ族)、チベットブータン、インド北部」です(・Д・)。

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これはですねー、主にインドのラダック地方やザンスカールの人々の衣装やテキスタイルの展示です。ラダッキードレスとかすてきだよね。


知らんかったけど、そのあたりはインドでもチベット仏教を信仰してる地域なんだよね。中国の文化大革命の影響を受けなかった分、ある意味チベットより信仰の影響が色濃く残ってるそうです(・ω・)ノ。

 

いろんな展示物があります。
色彩的には臙脂が印象的。臙脂のほうはラック染といって、コチニール(貝殻虫)が木に寄生して、それが出した分泌物を染色に用いるんだそうですヽ(・∀・)。現物が片隅においてあったけど乾いてたので生々しくなくてじっくり見れた( ̄▽ ̄;)。

 

このポスターに出てるのは多田等観が使ってた毛布。多田等観と河口慧海 を取り違えて覚えてた自分。これも藍と臙脂の2色がありました。

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拡大してみました。なんかこのマークの真ん中(十字のところ)に全宇宙のエネルギーが集まるらしいっすよ・・・スピのひとが好きそうな話だ(´・ω・`)・・・。
そしてそこに置いてあった本に多田さんと親交深かった先代のダライ・ラマのお写真が載ってました。お若くて「しゅっとした」っていう形容詞がぴったりの美形でしたヽ(´▽`)/。

 

あとはウールが雨具になってるのが面白いよ。脂があるから水はじくんだよね。

  • 4キロぐらいあるフエルトのコートはレインコートだそうです。
  • 毛布も雨具です。
  • こういうフエルトのレインハットもあった。

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前も見えるし、このタコの足みたいなのに雨粒がつたうので顔は濡れないそうです。ほんとかね(´・ω・`)?

 

あとは法具もいろいろあったよ。独鈷杵とか、日本国内でも寺宝がでてるような展覧会では割とよくみるけど、ここで見れるのはケースがかわいい。臙脂とブルーの色合わせで、貴石があしらってあります。ジュエリーケースのようですごくかわいい(╹◡╹)。

 

イ族のコートとかもあった。イ族とは、中国の少数民族です。白イ族黒イ族がいるそうで、展示されてたコートの色も同じく白と黒でした。

一般的に白=平民、黒=貴族といわれてて、Wikiにもそう書いてありますが、本当はもっと複雑で5段階の身分制のある階層社会だそうです。Wikiってちょいちょいそういうのあるよね。すごく便利でありがたいけど、ネット情報はあまり鵜呑みにしないほうがいいやね(´・_・`)。

 

というわけで、今回もいろんなテキスタイルが見れて楽しいです。11月11日まで、自由が丘の岩立フォークテキスタイルミュージアムにて。

 

次は日本民藝館「ウインザーチェアー日本人が愛した英国の椅子」

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こちらはひたすらウインザーチェアが展示されてます。
何か素朴で簡素な造形美がいかにも日本人好みで美しいです。ウインザーチェアの秀作はイギリスのメーカーが驚くほどの数が日本にあって、研究も進んでるんだそうです(*'▽'*)。

もうこんなにウインザーチェアが一度に見られる機会はないんじゃないでしょうか。見てると心が落ち着きます。おすすめですヽ(・∀・)。11月23日までやってます。

 

ウインザーのコレクションしてるひとは大変だよね(個人のコレクションもあった)。

何しろ大きいから保管するの大変だし、木製だから劣化するしなぁ。たぶん小型の陶磁器のほうがずっと扱いやすい。家族の協力がないと無理だと思う。

昔、渋沢敬三渋沢栄一の孫)の評伝を読んでたとき、民俗学のコレクションをお手伝いさんにものすごく邪魔にされてた記述があって切なくなったのを思い出した( ;∀;)。こういうのは興味ない人には掃除が面倒な代物でしかない。今は立派なコレクションとしてアチック・ミューゼアムで学芸員さんに大事にされてると思うけど。

 

あとは仏具と神具の展示もあったよ。神像が無造作に置かれててけっこうぎょっとした。

 

何か夏は終わった感じがしますね。

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んじゃまた。今週は祝日あるのでもう1回更新する予定です。

特別展「浅井忠の京都遺産 京都工芸繊維大学 美術工芸コレクション」@泉屋博古館分館

こんにちは。仙です。今回は六本木一丁目の泉屋博古館分館で開催中の特別展「浅井忠の京都遺産 京都工芸繊維大学 美術工芸コレクション」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"。

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今回はブロガー内覧会に参加させていただいたので、写真がたくさん載ってますが、これは美術館様より特別の許可を受けて掲載しています(*'▽'*)。

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さて、浅井忠さん、ご存知ですか?個人的には作品はちょいちょい見るんですけど、はっきりとした履歴とかはいまいち把握してませんでした(-_-;)。

 

浅井忠さんは佐倉の出身。佐倉かあ・・・川村美術館のあるところ・・・遠いなあ・・・。でもそこからあの時代に世に出てこれるくらいだから才能は折り紙つきだったんだろうな。

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【浅井忠先生のおおざっぱな経歴】

  • 佐倉から上京。工部美術学校に入校。ファンタネージ(日本に洋画の技術を伝えたひと)に師事。
  • 東京美術学校日本画しか教えないことに反発して明治美術会設立。
  • フランスで印象派を学び「外光派」と呼ばれた黒田清輝に出世争い(東京美術学校の洋画部門の教授の地位)を競り負ける・・・。アカデミックな画風を「脂(やに)派」と呼ばれていじられる。日本人は印象派好きだもんね。どんまい。
  • パリ万博に行ったときにアール・ヌーヴォーを実際に見て「これからはデザインの時代だ!」と開眼する。
  • 晩年は京都でデザイナーをしていた。というか、パリ万博で知り合った中澤岩太という人にスカウトされて、京都高等工芸学校(京都工芸繊維大学の前身のひとつ)で日本ではじめてのデザイン教育を行おうとしていたそうです。

 

この展覧会の展示品は主に

  1. 浅井忠がこれからの日本のデザイン教育のためにパリから買い付けてきた美術品。優品多し(*'▽'*)。
  2. 浅井忠、鹿子木孟郎とかの洋画や水彩画
  3. デザイナーとしての浅井忠と京都工芸の流れ。これもよい。

みたいな感じでおおざっぱに分かれてます。

んじゃ行ってみましょう。

 

パリからの買い付け品のターン。ミュシャ

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ティファニーはどれもきれい。いいのを集めてると思う。

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これも。

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これも。

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これはジョルナイ。エオシン釉は独特の輝き。

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ここは浅井の水彩画。

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いちばん右は東宮御所に飾るタピスリーのための下絵だそうです。宮内庁の注文に応えようとして超過酷な製作をしたそうです。モデルさんが逃げ出したんだって。

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浅井さんのデザインは面白いと思う。

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これが現物。

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この辺は明治工芸のターン。宮川香山。この真っ赤な釉がかかった焼物がすてきです。

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これも浅井さんのデザインのもの。エジプト文様の初期とか。

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これがいちばん有名なやつかな。

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ここらは板谷波山

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この辺はデザイン教育のもの。

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内国勧業博覧会のコーナー。

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メダル。

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布地のスワッチもある。当時は珍しいだろう洋服や洋傘用の布地もあり。イケてる。

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というわけで、とてもバラエティに富んだ展示だと思います。アールヌーヴォー好きや宮川香山とかの明治工芸好きが行くと特に楽しめると思うヽ(´▽`)/。お時間あったらぜひ。ってか、今回会期が1ヶ月しかないんだよ!!会期間際は混雑すると思うので、今のうちにぜひ。
10月13日まで六本木一丁目の泉屋博古館分館で。

 

次はこれだそうです。右の典雅と奇想。

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今年は奇想が流行りだね。そんな年なのかな。んじゃまた!

畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華@渋谷区立松濤美術館

こんにちは。仙です。このごろちょっと涼しくてうれしいです。らくちん(*'▽'*)。

さて、今回は渋谷区立松濤美術館で開催中の「畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"。

 

何か前に車が停まってたから近づいて撮った・・・ナンバーとか入るとまずいから・・・。

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松濤美術館は好きな美術館です。なぜなら

  1. ぐるっとパスで入れる (*'▽'*)
  2. 建築がなんか凝ってる
  3. トイレがきれい ヽ(´▽`)/

だからです。特に3番目は重要ポイント。体調万全でないときでも安心して行けるので。

 

今回は「畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華」。畠中さんは日本画で、インド染織品のコレクターとしても有名だそうです。ベッドカバーとかサリーとかショールがたくさん。モスリンみたいな薄地のプリントとかみんなとても美しいです。すごい量だからきっと保存も大変だよね?眼福でした( ´ ▽ ` )ノ。


そして今回は写真撮ってSNSに上げてOKなのでたくさん写真撮ってきました。

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更紗は名物裂とかもあるし、日本人は大好きだよね。

こないだ読んだ吉田光邦さんの本にあった記述なのですが、江戸時代、ラッフルズシンガポールの創設者)が日本を開国させようとしたときに、まず権力者を懐柔するために用意しようとした贈り物のリストに更紗が載ってたそうです。
「日本人、こういうの好きだよな( ̄∇ ̄)」
と各国から思われてたっていうことだよね。

鎖国してたのに、よくおわかりですね(´・_・`)。その洞察力に感心する。少ない貿易の機会を駆使してけっこう買いあさってたのかもしれません。

 

現代の日本人もこういう染織は好きみたいです。ここの美術館はいつも落ち着いてる印象だけど今回は人がけっこういっぱいいました。みんなきれいなもの見れて喜んでました。

畠中さんありがとうヽ(´▽`)/。

 

パッチワークも細かくてきれいなんだよ。

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ぜんぶターバンなんだよ。

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カンタっぽいのもあった。

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箔押しものもきれいなんだよ。

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こういうの見てると、レゾリヴァードとかちょっと・・・と思う。

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うまく撮れないけど、白もいいよね。

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縞は外国から島伝いに来たから「しま」です。服飾博物館で覚えた。

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というわけでおすすめです。9月24日までです。
Bunkamuraすぐ近くなので「奇想の系譜」といっしょにどうぞ。

んじゃまた!