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美術鑑賞ブログです。たまに旅行記とかお散歩の記録とかも書きます。思ったままを正直に。

ヴァロットン展@三菱一号館美術館

三菱一号館美術館で開催中のヴァロットン展に行ってきました。たまたま初日で、客入りはまあまあ多く、でも見づらくはない、一番いい感じでした。梅雨の中休みで晴れていて、窓から見える景色もさわやかでした。すばらしい(^^)

さて、早速本題の展示内容について触れようと思います。あくまでも私の印象ですが、「いいんだけど、人を選ぶかな」です。
だって、女性がモデルになっている油彩画、全般的に女性たちが美しくないんだもん。(注意:本当に個人的な感想です)
三菱一号館の前回の展示「ザ・ビューティフル」と真逆のベクトルに走ってる感じです。
何でだろう?この人、裸婦とかも好んで描いてるのに。お腹のところのたった一本のしわとか、お尻のセルライトとかに、女性に対する悪意を感じます。
うーーん、エロティシズムとかもまったく感じません。章の題名が「冷たいエロティシズム」とかになってたりしますが、どこにエロティシズムが?と思ったり、キャプションに「このモデルは画家たちのミューズで・・・」とか書かれていると、顔が整ってるのは認めるけどミューズって・・・納得いかない・・・とか思ったりします。(この辺は私の目が節穴なんだと思いますが)

この人って、家族、特に姑さんとかも、嫌いだったんだろうな・・・・。妻子を描いた絵とかもありますが、奥さん激怒しなかったのかな・・・彼女の実家が有力な画商みたいだから、ヴァロットンの描いてる絵を知らない訳ないのに・・・みたいな下衆な想像がうっかり止まらなくなったりします。
個人的には、イヤなら描かなきゃいいのにとか思ったりもしますが、奥さんと添い遂げてるところを見ると、絵に鬱憤をぶつけはしたけど、実は家庭を大事にしてたのかな?

女性像、すべてがいやな感じではなく、木版とか、線の抽象度があがると、なかなか魅力的でいい感じの作品もあります。油彩では、アフリカの女性」に描かれてる黒人女性が一番美しかった。やっぱり異邦人なので、抽象的なイメージで捉えてるのがいいのかもしれないです。

ずっと見ていると、油彩はモデルを中心に描いてる感じで、木版は、やっぱり線の均一性かなと思うのですが、その場面場面を写真のように広角で写し取ってる感じかな?それでこっちのほうが、ヴァロットンの描く美を圧倒的に多く掬い取ってる気がします。楽器の連作などは、音楽をそのまま絵にしてる感じがして美しいです。

油彩なら、風景画が好き。国土に対する愛を感じます。いちばん好きなのは、「月の光」。夜の闇と金色に光る月がとても美しいです。

いろいろいいましたが、この展示、嫌いじゃないです。むしろ好き。ずっと通しで見ていくと、ヴァロットンの人生がストーリーのように流れ込んできて、面白いから。皆さんも是非どうぞ。ふつうの展覧会と毛色が変わってて面白いです。
ヴァロットン、実は正直者なのかな。そんな気がする。ストレートなので、戦争を鋭く描いた連作とか、そういう作品にはまるのかも。

特に、最初のほうと最後に1枚ずつ飾ってあった自画像陰鬱で臆病そうな20歳の彼が、人生でいろいろな経験をして、さまざまな作品を産み出し、最後の孤独で頑固で猜疑心の強そうな(ごめんね)顔の老人になる。
「必然」という言葉が胸をよぎります。

音声ガイドは、スマホアプリ版が600円、通常版が520円です。私はめんどくさいから通常版にしましたが、アプリ版もよさそうです。ところどころ館長さんがいろんなことを語ってくれてます。(そのトラックになると顔写真がガイド機の画面に出てきます。ちょっとうけた・・・)

9月までの長い会期なので、急がなくても大丈夫ですが、そのうち行ってみてください。ではでは。