easy busy

基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

型染と印判手@国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館

こんにちは。仙です。続きです。
せっかく三鷹に行ったので、ここにも行ってきました。 国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館ICUってはじめてきた。やっぱり宮様が通っていらっしゃるからでしょうか。セキュリティめっちゃ厳しい。どこもかしこも撮影禁止。河津桜とか、自然も豊かなので写真を撮りたかったのですが、やめときました・・・自分は基本決まりは守りたいので・・・。土曜日に行ったせいか、学生さんの姿は少なく、近所の(多分)中高年の仲の良さそうなご夫婦が散歩してる姿を多く見かけました。

 

だから今回は写真はポスターだけです。いくら何でもポスターなら上げていいと思うんだけど、だめだったら連絡ください・・・すぐ下げます。

f:id:impatiens101:20190217215503j:plain

学校の印象:敷地が広い。学生さんが自転車に乗って移動してます。まぁ人が少ない学内なのであんまり固いこと言うのもどうかと思うんですが、あんまり飛ばしてたりスマホを見ながら乗ってたりするのはやめさせたほうがいいと思います(実際見た)。危ないよ(´・ω・`)。

学校の印象その2:浮世離れしてる感じ。なんか外とは違う理屈で運営されてる気がする。雰囲気が独特。外国っぽいよ。

 

それでこの湯浅八郎記念館なのですが、湯浅八郎さんはこのICUの初代学長なのだそうです。それで民芸関連のコレクターで、その収集品を亡くなられる前にICUに寄贈して、それを広く役立てるためにこの記念館が作られた、と。湯浅さんの年表も見ましたが、戦前からの知識人として、まったく非の打ち所のない経歴でした。

subsites.icu.ac.jp


今回の「型染と印判手」もすべて湯浅さんのコレクションの中からの展示です。コレクションノートとかも展示されてて、いかにもコレクターっぽい几帳面さで記録が取ってあるのが親近感です。(収集場所は神社の縁日とかが多い、蒐集品の大きさ、通番等)
記録の字が拙いのもご愛嬌で、収集2000点目の時は2000!と大きく書いてあって、嬉しかったろうなぁと思ったよ。展示内容も、膨大な数の蒐集品に支えられて、すべてなかなか興味深いものでした。伊勢型紙とか多かったかな。斬新で整った感じの美しい蒐集品が多かったです。器もきれい。

 

記念館の造りとしては、2階建て。2階のメインの展示室で企画展をやっていて、それ以外は、ICUの敷地(ここはもとは中島飛行機三鷹製作所の敷地。遺跡もあったらしい)から出土した考古学・ 土器とか石器とかの展示と、あとは正しい名称忘れたけどストレージなんちゃらみたいな部屋があって湯浅さんのコレクションが展示されてました。民芸の本や十字架とかメダイとかもたくさんあった。他にはなかなかない感じのコレクションで、好きな人は好きだと思う(ここはキャプションはない)。
あとは松浦武四郎の一畳敷のレプリカや階段箪笥?もあったな。

 

んー、何か全体的にもったいない。キャプションも少ないし、あまり親切じゃない。設立の趣旨のところに「学内学外を問わず、人々にコレクションを役立てる」みたいなことが書いてあったと思うんだけどな。もうちょっと広く受け入れられる努力はしたほうが。資金無くてももうちょっとやりようがありそう。

「とりあえず展示はしておくから、わかる人だけわかってね」みたいなメッセージが感じられました(※個人の感想です)。
でもまぁいいのか、学校のものなんだからどういう展示をしても自由だし、なにしろ無料だしね。

 

なんかネガティブな感想を書いてしまいましたが、展示自体は面白かったです。よかったです。近隣にお住まいの方は行ってみてもいいと思います。 春になったら花とかいろいろ咲きそうだし。今年は春来るの早そうだし。この展示は3月8日までやってます。


んじゃまた! 

タータン 伝統と革新のデザイン展@ 三鷹市美術ギャラリー

こんにちは。仙です。
今回は、前回雪で行けなかった三鷹に行ってきました。タータン展ICUの 「型染と印判手」。 

f:id:impatiens101:20190217211507j:plain

個人的には、なかなか三鷹までは行けないです。遠い。用事がない。昔は中央線沿いに住んでいたのですが、その時も結局吉祥寺までしか行けなかったな・・・。
でも、実際行ってみたら思ったより全然近く感じました(たまたま新宿から中央特快に乗れたし)。この三鷹市美術ギャラリーは駅からすぐのビルの中にあります。

f:id:impatiens101:20190217211642j:plain

展示内容はすごく良かったです。そして会期終了間際だったので混雑してた。


タータンチェックって、いろんな決まりがあって、最終的にはスコットランドの登記所に登録しなきゃいけないんですが、いろんな企業が登録してます。 日本企業も色々勉強して登録してるみたいです。みんなタータン好きだよねー。

後はロイヤル・タータンとか、ミリタリータータン(ロイヤル・エア・フォースとかネプチューンとか。ブラックウォッチ柄もこれに入る)とかいろんなタータンがあって、どれもとても 美しかったです
また、トルソーに着せたいろんなデザイナーのタータンチェックファッションもあったのですが、色々見て
「結局はヴィヴィアンウエストウッドが一番斬新でインパクトあるな( ̄▽ ̄)」
っていうのが個人的には正直な感想です。

 

最後のタームでは「日本におけるタータンチェック受容の歴史」 みたいな展示があったのですが、昔の日本の広告っていいよね。昔って言っても戦前から戦後にかけてだけど。 ちょっと浮世絵っぽい色彩のポスターとか、意外とタータンが映えていいと思う。帝人の「ハモンドタータン」とか・・・帝人って帝国人絹の略だったんだね・・・
あと、バブル頃はいかにも「お金かかりそうだな」みたいな企画を結構やってて興味深いです。豊かな感じ。リーガルシューズもタータンの洋服とか作ってた。VANとのコラボは定番。キャシャレルのポスターとかも素敵だったけど、ここって日本でまだ展開してる?

f:id:impatiens101:20190217212724j:plain

全体的にとても面白かったです。会期は18日までだったんですが、このあと岩手・福岡・新潟等巡回するみたいなんでおすすめです。ぜひ。

物販はお菓子が多かったかな。イギリスのお菓子って美味しいよね。ショートブレッド
関連書籍でタータンチェックって何ぞ?」みたいな本もたくさんありましたが、さらっとみた結果、この本が一番わかりやすかった。 

 いや、やっぱり素養に欠けるんで、子供用に詳しく書いてあるのがわかりやすい・・・。

ということで大変よかったです。明日はICUの「型染と印判手」の記事を更新します。
んじゃまた!

河鍋暁斎 その手に描けぬものなし@サントリー美術館&奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド@東京都美術館

こんにちは。仙です。
さて、今回は始まったばかりの展覧会が二つ。一つは六本木のサントリー美術館で開催中の河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」。一つは上野の東京都美術館で開催中の「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」です。 

f:id:impatiens101:20190211131948j:plain

f:id:impatiens101:20190211132118j:plain

いや、土曜日はね、本当は三鷹でやってるタータン展とついでに近くの ICU の博物館でやってる「型染と印判手」に行くつもりだったんですけどいかんせん雪だったので。結構降ってたので。美術館行ってて帰れなくなったっていうのも間抜けだなと思って・・・。そんで次善の策として、「雪が降ってるから、普段混雑してゆっくり見れない企画展が比較的空いてるはず。 行ってみよっか」という考えだったんですが、 ミッドタウンのサントリー美術館に関しては計算通りだったものの(でもそんなに言うほど空いてはなかったです)、近くの六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーの「新・北斎展」は、そんな浅はかな目論見を思い切り裏切る混雑の仕方でした。なのでそちらのルートは早々に諦めて上野の方に移動したわけです。北斎展はまた夜に来るからいいわ(・ω・)。


でも、その判断は間違ってなくて結果的に両方の企画展がとてもゆっくり見られる環境でした。そして結果的に閉館時間間際だったので(1時間半弱くらい前だけど)、むしろ独り占め状態で見ることができました。ラッキー!大勝利。思わず見ながらニヤニヤしてしまいました。 怪しい人。

 

結論から言って、どちらの企画展もとても良かったです。
河鍋暁斎の方は、 Bunkamura の企画展と比べて見やすかった気がする。多分作品のサイズの問題。結構大きい作品が出てます。河鍋暁斎って、近年とても人気が出てきたように思いますが、この展覧会を見てその理由が少しわかったような気がします。 暁斎の絵にはストーリーがある。 と思う。
狩野派の粉本もこの企画展には数多く出ているのですが、それと比べると暁斎の画題やアングルの切り取り方にとても特徴があるのが分かります。

  • 可憐な美女からちいさな悪鬼が飛び出してきたのを鍾馗様が退治してたりとか。 この女性はどんな悪行をしたんだろう?
  • 人の本来の姿が見えると言う地獄の鏡に映る姿が非常に若くて美しいのを驚愕の目で見つめている閻魔さまと鬼たち。 ていうことは、本来の姿は普通に考えると老婆なんだろうけど、優しくていい人なお婆さんはいくら何でもそこそこの数はいるはず。おっ!とは思うだろうけど。それがこんなに驚くってことは実は女装のおじいさんかなとか・・・生前にどんな善行を積んでいたのかとか・・・
  • そういう感じでいろんなことを想像できる・考えることのできる面白い絵が揃ってると思います。 

もちろん、絵画として単体で見てもとても美しいです。地獄太夫とかいろんな人が描いてますが、暁斎が描いたのが一番好きです。 立体を平面に写し取るバランスがいいんだと思う。彩色もとても美しいです。一見の価値あります。おすすめです。3月いっぱいサントリー美術館でやってます。展示替えも結構あるみたいなのでできれば私ももう一回行きたいと思います。

 

次は東京都美術館「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」です。
あんまり知識を入れないで見に行ったんですが、伊藤若冲曾我蕭白長沢芦雪岩佐又兵衛狩野山雪・鈴木其一・白隠慧鶴・歌川国芳というそうそうたるラインナップの画家たちの作品を「奇想」という角度で切り取った展覧会、ということらしいです。

 

結構テイストの違う作品が一堂に展示されてるなと見ていくうちに思ったので、「で、結局奇想って何ぞ?」ということで、途中で展覧会の「はじめに」を読みにもう一度振り出しに戻ったのですが、「奇想の系譜」っていうのは、 この企画展を監修されている辻惟雄さんの著書に詳しいらしいです。 

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

 

 この本、なんとなく聞いたことあるようにする気もするけど、詳しくは知らなかったです 。なんかごめんなさいって感じ・・・。 後で読みます。機会があれば。

 

でも本当にテイストが違うのですよ。確かに奇抜な表現・常識を超えた描写ということは統一されてるのですが。
例えば若冲の「象と鯨図屏風」とかは、地上と海でそれぞれ一番大きな生物を描くことで、ある意味幻想的な風景を描いているのですが、なんかこれは人間が「見てみたいなぁ」と思う景色だな、と思います。 他にも花鳥画や達磨図、虎図等もあるのですが、その鮮やかで精密な色彩と相まって、まるで極楽の景色を切り取ったような美しさです。いい感じに次元が違う気がする。この世と続いている極楽っていうか、いつか行きたいねというか。お寺とかMIHO等の新宗教系の美術館とかが収蔵したがる気持ちがよくわかります。確か辻さんってMIHOの前館長だったよね。この展示にもMIHOの所蔵作品がたくさん貸し出されてます。


反対に曾我蕭白とかは 自分の中に現実の社会とはまったく違う世界があって、それを描いてる気がします。 理解を求めてない感じ。違うベクトルで宗教的な感じ。
岩佐又兵衛は、自分なりに自分の世界をひたすらリアルに描いてるけど、普通の人間はそういう世界に生きてないので結果的に奇想の系譜に連なってしまうというか。だって荒木村重の息子でしょ?なかなか理解するのは無理だって。今回も精密で残酷な絵巻物が展示されていましたが、これは多分全て子供の頃にリアルに見て、その強烈な記憶を吐き出してるんだと思うな。 実際に見た経験がないと、この描写にはたどり着かないと思う。
まあ、又兵衛に限らず江戸時代以前の画家の死体描写を見ると、この人多分近くの刑場に死刑を見に行って、死体をスケッチしてるだろうなあと思うことがとても多いですが。絞首された人間の首の曲がり方とか・・・。

 

全体的にとても面白い展覧会でした、ということで。グッズもいいよろしいのですが、閉館時間ギリギリまで見てたので、物色するまでには至りませんでした。 皆さんお時間に余裕を持ってお出かけください。これからどんどん混みそうな気がするので、正直天気悪い日はお勧めです。 雪の日はいいよ。下は夜の上野公園の雪。ちょっと積もってる。

f:id:impatiens101:20190211132950j:plain

比較的近くで絶対帰れる確信がある人に限るのですが。4月7日まで都美でやってるよ。

今週は寒いみたいですね。体調管理に気をつけて。んじゃまた!