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特別展 日本の素朴絵ーゆるい、かわいい、楽しい美術@三井記念美術館&メスキータ展@東京ステーションギャラリー

こんにちは。仙です。
今回はまず三井記念美術館で開催中の「特別展 日本の素朴絵ーゆるい、かわいい、楽しい美術」です。

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後ろのは竹かな

これ楽しかったです。たぶん夏休み向けコンテンツ。毎年妖怪展みたいのやってるよね。

 

この展示、作風としては蛭子さんのマンガからエログロや邪悪さを抜いた感じのやつが多い気がする。でも素朴絵と一口に言ってもおおまかに2タイプある。

  • 訓練とかまったく受けてない市井の人が描いた絵
  • プロかそれに準じた人がウケを狙って?描いた絵

最後の展示室の「知識人の素朴絵」の章には仙厓義梵とか尾形乾山とかのビッグネームもあるけど(さすがにタッチが流麗)、前の展示室の絵巻物とか絵因果経とかは作者の名前が前面に出てない本当の素朴絵。こういう言い方どうかなとも思うけど、やっぱりかわいいです。おじさんとかもニコニコしながら見てる。高確率で。こういう隙のある未完成な感じが日本人は好きだよね。アイドルとか好きだし。

 

でもね、妖怪展っぽいところもあって、オカルトっぽい題材の作品もけっこうあります。私の一番のツボは神社姫。姫?顔が成人男性なのに姫なの?みたいな。
キャプションを読んだら特徴はそのまんま「件(くだん)」です。件っていうのは歴史に残る大凶事の前兆として生まれ、数々の予言をし、凶事が終われば死ぬという(Wikiより)人面牛身の妖怪のです。神社姫はそれが人面龍身なのです。実はくだんの元ネタらしい。その姿絵なのですが、けっこう眼が離せない魅力があります。個人的に。
ちなみに小松左京の件をテーマにした小説「くだんのはは」は私的に最高にバッドエンドな小説です。怖い話。

 

くだんのはは (ハルキ文庫)

くだんのはは (ハルキ文庫)

 

 

あとは絵巻物の異類婚姻譚とかも絵巻物に多いよね。かわいいスズメとかおさるとかに惑わされがちだけど、よくよく考えるとあれは高貴な人と無理に結婚した人を戒めるっていうか、身分制のあった時代に庶民に「分をわきまえた生き方をしなさい」って忠告してるのかなと思う・・・。けっこう怖い話。


あとはつきしまかるかやとかだけど、これは日本民藝館とかで見たことある。これもよく考えると怖い話。特にかるかや。これは妻子(妻は妊娠中)を置いて失踪し、出家する男の話。意外と日本美術には妻子を置いて出奔する父親とか出てきますよね。主人公は成長して最終的に自分を探し当てた息子と親子の名乗りを交わさぬまま同月同日に死ぬという血縁って恐ろしいものだねという話です。なかなか怖い話。

だから総論としてこの展覧会はかわいくて怖い感じかな。面白いです。時間があればぜひ。9月1日までやってます。

階下ではホンマタカシさんの三井本館の写真展もやってる。

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きれいです

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こういう趣旨


次は東京ステーションギャラリーでやってる「メスキータ展」

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東京駅は今日もにぎわっている

この人のことは勉強不足で知らなかったんですが、エッシャーの師匠でデザイナーとしても活躍した人。ユダヤ人だったので1944年に強制収容所で亡くなったんだそうです・・・。

私はデザインの仕事がいいと思ったな。版画は日本の浮世絵の影響を受けてるそうですが、私は黒と白のバランスがヴァロットンを思い出した。

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自画像

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息子さん


あとは植物と動物。無意識を描いたと言われる絵も。自分の無意識のヴィジョンとは違いますが、人の不安を掘り起こす感じでよいです。

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パイナップル

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これは何だっけ

面白かったです。興味を持った方は行ってみてもよいのではと思います。
8月18日まで。

 

今年は涼しいけど、いったん夏になるとけっこう暑くなりそうで心配です。暑いときは美術館がいいよね!んじゃまた!