キリム - アフガニスタンの普段使いの敷物@岩立フォークテキスタイルミュージアム&ベツレヘム聖誕教会モザイク壁画の発見―甦りし天使たち―@古代オリエント博物館
こんにちは。仙です。
今回は自由が丘の岩立フォークテキスタイルミュージアムと池袋の古代オリエント博物館に行ってきました。自由が丘と池袋って意外と近いよね。東急線で一本。30分かからない。
まずは岩立フォークテキスタイルミュージアム。今回の企画展は「キリム - アフガニスタンの普段使いの敷物」です。
もちろんタイトル通りキリム(ギャッベとか絨毯みたいな感じの敷物)もたくさんありますが、アフガニスタンの各部族の衣装も結構ありました。
そんでまず全体的な印象を言うと、「重い・密度が濃い・マジカル」ですね。なんかね、どれもどこかしらに護符があしらわれているのですよ。呪術的。英語で言うとマジカル。そんで護符のモチーフを密度濃く刺繍したり編み込んだりしていくと、だんだん布が重くなっていくのです。魔除けにはミラーはマストだしね(悪いことを跳ね返す)。ちっちゃいミラーをいっぱい縫い付けてる。すごく重そう。
日本の着物とかとの共通点も結構あって面白いです。
- 「このコートの背中の所についてるの、要するに背守りだよな」とか、
- 裏地に派手な花柄の布が使ってあるのを見て「家にあった昔の半纏、こんな裏地だったよな」と思ったりとか。
ていうか、布製品の交易ってけっこう昔からあるよね。茶道で使う緋毛氈とかも確かこっちからの輸入品・・・。 昔はフェルトは日本にはなかったし。
どれもみんな素敵だったので、「こういう織物とか刺繍とか売ればいいのに(・∀・)」とか思いましたが 、工場で一律で作ったんじゃあんまり魅力がないのかもしれないですね。お母さんが祈りを込めて子供の上着とかに縫い付けるからこそ価値があると言うか・・・。
そして地図を見て思ったんですが、アフガニスタンって広いね。
部族もいろんなのがあって、日本人にはとても理解するのが難しいです。でも、作品を見ていると、一番中央アジアっぽいスタンダードなイメージがそのまま出ているのがパシュトゥーンかなと思います 。白いフェルトに綺麗な金糸で細かい刺繍が刺してあったり、カラフルな布がエキゾチックだったり。
そして一番イスラムっぽい無機質な感じの模様を多用してるのがヌーリスタン。でもこの人たちは生粋のイスラムではなく、19世紀ぐらいに強制的に改宗させられたののだそうです。そして言い伝えではアレキサンダー大王の遠征軍の末裔なんだそうです。平家の落人伝説みたいなもの? 元々は独特の文化を持った異教徒だったそうなんですが。今でも同じ部族でパキスタンに住んでる人たちはその信仰を維持していて、カフィリスタンと言われています。
後はウズベックのラカイ族も面白かったわ。この人たちも独特のシャーマニズム信仰を持っていて、刺繍のモチーフが渦巻きの太陽とかチューリップとか非常に秀逸なデザインですが、全部要するに護符。迫力あります。そういえばチューリップってこっちの方が原産なんですよね。原種は高温でも乾燥でも 耐えられる根性のある花みたいですよ。でも私はたぶん枯らす・・・。
さてそういうわけで、 結構おすすめです。 3月16日まで、自由が丘の岩立フォークテキスタイルミュージアムでやってます。
次は古代オリエント博物館。
今年からコレクション展やってる期間の 写真撮影が OK になっています 。(撮影禁止のものもある)
クローズアップ展はベツレヘム・聖誕教会について。世界登録遺産が非常に速攻で承認されたあそこです。キリスト教・イスラム教両者にとって重要な土地。なんか大変だよね。宗教が原因で争いが起こるのがよくわかります。
天使とかのモザイク画。修復チームには日本人もいるそうです。
疑り深いトマス。
修復作業を撮った写真や映像はいいのが多いですが、カメラマンさんはキャプションを見るとパゾリーニの「アポロンの地獄」に参加して影響を受けたのだそうです。パゾリーニ(・∀・)!彼は根性入った無神論者だった気がするのですが、こういう影響を残したってことは誰より信仰に向き合ったのかもしれないですね。期待値高すぎで裏切られたみたいな感じ?
なかなか面白いクローズアップ展でしたが、確か今日までで会期は終了してます・・・次回にも期待っていうことで。あとはコレクション展です。
一粒の麦ってこんな感じ。
護符かわいい。
ハンコもいいよ。
ジャコメッティっぽい神像。
楽しいところです。サンシャイン近くに行くことがあったら是非。
んじゃまた!