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基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

「マジック・ランタン 光と影の映像史」、「TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら」@東京都写真美術館

こんにちは。仙です。
今回は久しぶりに東京都写真美術館に行ってきました。

恵比寿自体久しぶりに行った!なんか恵比寿三越変わった気がする・・・。お店の感じがちょっと伊勢丹寄りになった気がします。前のコンサバぽいところが結構好きだったんですけど、何かおしゃれになってる気がする・・・。でもそれで売り上げが上がるなら何より。頑張って !

 

写美は展示室は三つあって後は映画館もありますよね。今回はこんな感じのラインナップだったのですが、今回私がメインで行ったのは 「マジック・ランタン 光と影の映像史」( ´ ▽ ` )ノ。

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マジック・ランタンっていうのは映画の映写機やプロジェクターの原型。 具体的にはこんな感じです。これは展示室の外にありました。撮影可だったので。

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マジック・ランタンっていうのは日本で言うところの幻灯ですね。スライドは2枚あって自分で変えることができます。

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レンズの筒っぽい部分を風呂って言うらしいです。風呂にスライドをはめて光源(灯明・・・ろうそくのようなもんかな?やランプ)で映すわけです。火を使うからなかなか危ない(´・_・`)。だから普通軽くて燃えにくい材料、桐だったかな?でできているそうです。

 

こっちはよくわからん。

 

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中の展示は時系列でわかりやすかった。よかったです。

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ヨーロッパで誕生したマジック・ランタンは ファンタスマゴリアって言うお化け屋敷みたいのなもの?で上映されるスライドで使われてたんだそうです。

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その当時のスライドがプロジェクションマッピングで会場の壁の頭上あたりに映し出されていましたが、絶妙に気色悪くてよかったです。

  • キューピッドの顔が髭面でどう見てもおっさんだったり
  • なんかアリと人間のハイブリッドみらいな生物の骸骨だったりとか
  • キューピッドが自分の持ってる矢をごっつい砥石で本気研ぎしててどんだけ?ってくらい鋭くなってる様子とか。

全般的にヨーロッパらしい美しさがあるし、色使いは透明感があってフォルムもファンシーなんだけど本当に薄気味悪い、でも可愛くて面白いです。

 

影絵の投影もマジック・ランタンの一種らしく、影絵芝居の様子を描いた絵もありました。タイトルが「中国の影絵」ていうんだけど、人物はどう見ても日本人(武者の格好だったり)みたいなのがたくさんありました。
その絵の中にホテルの主人が対岸との間をつなぐ橋をハンマーで叩き壊している印象的な構図がありました。きっとこの当時、アジア人って何考えてるかわかんなくて気色悪いな( ̄▽ ̄)と思われてたんだろうなと思う・・・。

 

日本に入ってきたのは2回に分けて。江戸時代に入ってきた時は完全に娯楽としてエンターテインメント系の興行。ストーリーのあるやつ。
次に入ってきたのは主に教育・宗教目的みたいな(・ω・)ノ。その当時の関係者やっぱり賢いよね。このジャンルはやっぱりお金が集まる・・・。

 

具体的には

  • 軍が教育で使ったマジック・ランタンと
  • 信州中野お寺の信徒が寄進したお金で作ったマジック・ランタン

後者なんて、使ってるレンズがカールツァイスだよ!すごい。今でさえいい値段するんだから、当時なんていくらしたか考えもつかない。きっとめちゃめちゃ高価だったことでしょう。 たぶんこれを投影しながら説経節なんかを聞かせればとてもとてもとっても人間の情動に訴えると思います。昔小沢昭一の「日本の放浪芸」にハマってよく聞いていましたが、昔の本当の名人の説教節は現代の人間でも感動して号泣できるレベルなので、映像がついたら臨場感が半端ない気がしますd( ̄  ̄)。
前者も軍人としての誇りとか英雄の振る舞いとか映像で見せられるのが効果的ですよね。洗脳って言えば洗脳かもしれない・・・。

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映像もいくつかありましたよ。
たぶん4 D?みたいなのとか、 ほんとの黎明期のサイレント映画とか。


子供の頃に見た幻灯の興行の美しさが忘れられなくて個人的にずっと研究して、それをまとめてる90歳の明治生まれのお年寄りとか(このインタビュー自体は1970年代半ばに行われたらしい。)すごかった。 奥さんと2人で幻灯を再現してるのを見るとセンチメンタルな気持ちになる・・・。

 

それで思ったのか、日本のスライドは動きがリミテッドアニメ
中高生の頃はアニメが大好きでアニメ雑誌とかムックとか設定資料集とかもきちんと買って熟読してたので(オタク体質なんで)日本のアニメの歴史的なものはなんとなくわかってるつもりですが、これって 動きがまるでリミテッドアニメ。カクカクしてるんだよね。部分的にだけ動いてて。


リミテッドアニメって某ディズニーのフルアニメと比較されて ディスられがちですが(当時読んだ本で宮崎駿さんが創始者手塚治虫さんのことをボコボコに叩いてたのをみたことある)、ずっと宮崎さんがそう言うなら手塚さんが悪いのかな?と思ってましたが、見る限り日本の歴史的な DNA に こういう動きは最小限に、ストーリーで思い切り情動に訴える感じの嗜好は書き込みがありそうなんで、手塚さんがやらなくてもきっと誰かがもっとまずい形でやっただろうな(虫プロはクリエイターの待遇はとても良かったらしい)、手塚さん悪くないじゃんと思いました。思い込みがとけた。


ほんとにこういうイベントもあったらしい。

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というわけで楽しかったです。映像系好きならぜひ。
10月14日まで東京都写真美術館の地下1階展示室で開催中です。

 

それから3階でやっていた「TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら」もう見ました。ぐるっとパスで入れたので。


これは東京都写真美術館が所蔵をしている世界の有名作家のとても良いコレクションを定期的に公開して、 写真を楽しむ習慣をつけてほしいっていう趣旨で開催されてるんだと思うのですが、やっぱり有名な写真家のいい作品は知識がなくても楽しめます 。
ユージン・スミスとか土門拳とかやっぱりいいです。1つ面白かったのはウィリアム・マムラーっていうひとなんですが、彼は心霊写真家としてとても売れた人で、それは多重露光で重ね写しして作ってたんだそうです。エンタメですね( ̄▽ ̄)。昔からオカルトビジネスはある。今どきはチェキとかで簡単に作成できる気が。いい時代になりました。

こちらは11月4日までやってるらしいです 。結構見る価値あると思う。お時間あったら是非どうぞ。


今回は結構長く書いてしまいました。ではまた来週!