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基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

江戸の相撲と力士たち@太田記念美術館

こんにちは。蒸し暑いですね。
さて、太田記念美術館で開催中の、「江戸の相撲と力士たち」展を見に行ってきました。

この展覧会は、相撲絵を収集している石黒和義さんが、このたびコレクションを同館に寄託なさったことから、開催のはこびとなったそうです。
うん、コレクションから、「コレクターが好きなものを集めている」感じが滲んでいて、楽しい展示でした。そして、この石黒さんって、日本IBMの常務とか、JBCCホールディングスの会長等を歴任された本物の実業家で、びっくりしました。何しろ図録の巻頭に掲載されている対談の出典元が「財界」。庶民には縁のない雑誌です。こうやって、コレクションを公開していただけるのはありがたいことです。

今回は特殊な展示だったので、絵の感想というよりは雑感をいくつか。

①昔の相撲って自由だな。
いや・・・44歳で横綱になったっていう力士の絵があったので・・・どういう仕組みでその年で昇進できるんだろう?と思って・・・。
あと、子供相撲の人気力士の絵もありました。子供相撲って、何?それらの力士は、多くは大成しないようですが、今回絵のあった力士は、無事出世したみたいでよかったです。

②美男子に需要あり
これは石黒さんのお言葉だそうです。多くの相撲絵に、本当にいろんなタイプの力士がいますが、やっぱり美男子だと、絵師がけっこう力を入れて描いてます。
そういえば昔、小沢昭一さんの本で読んだのですが(どのタイトルかは忘れちゃった)、戦前は、お相撲さんって、「美しい」ことに価値が置かれていたそうです。

「美しい」っていうのは、姿だけじゃなく、勝負の仕方にもあったようで、小沢さんのお父様がある力士のタニマチをしていたときにおっしゃった言葉
「お前ね、髷が乱れるような汚い相撲はしちゃいけないよ。負けてもいいから、きれいに負けなさい」(詳細はウロだけど)
がとても記憶に残っていて、そのときは「こういうこと言ってるから外国人に勝てなくなるんだな」とちょっと苦々しい気持ちで読んでたのですが、改めてこれらの絵を見ると、やっぱり美しいっていいことじゃん!という気持ちが勝ってきました。
日本の伝統、万歳。
他にも、ある力士が首投げで勝って、師匠に「汚い勝ち方するんじゃねぇ」とめっちゃ怒られる話も、ある絵のキャプションにでてきます。

③絵番付、復活しないかな。
序の口からすべての力士を網羅した、浮世絵による番付が何枚かありました。人数がかなり多いので、一人一人はだいぶ小さい絵なのですが、美しいです。
是非復活してほしい!と思って、検索してみたら、すでにありました。↓です。

大相撲錦絵 大門 通販ページ
うーーん、いいんだけど、高いな。幕内だけだし。これはこれでいいんだけど、一般人向けに、500~600円くらいで(一番よくない紙に適当に刷って)作ったレプリカを国技館でお弁当とかと一緒にぺらっと雑に売ったら観客みんな買いそうな気がする。でも、それだとあんまり意味ないのかな・・・実は相撲見に行ったことないしvv勝手なこと言ってごめん。

というわけで、けっこうおすすめです。
6月26日までなので、お時間あったらぜひ。

太田記念の次回展示は、「江戸妖怪大図鑑」だそうです。
化け物編、幽霊編、妖術使い編にわかれてます。
妖術使いには、万難排して行こうと思います。ほかのも時間があれば。楽しみです。