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基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

栄西と建仁寺@東京国立博物館

さて、栄西建仁寺です。

最近いろんなところに俵屋宗達風神雷神図の描かれたこの展覧会の看板をみかけます。
タイトルだけではあまり展示内容がイメージできなかったのですが、巷の評判がなかなかよいらしいので、とりあえず行ってきました。

まず、会場の東京国立博物館、略して東博ですが、門のところのチケット売場が新しくなってました。博物館っぽさは減った気がしますが、ガラス張りで、なかなかスタイリッシュです。
私はパスポートを買ったので、もとの出入り口から入ろうとしましたが、係員の人に止められました。そっちは出口専用になったみたいです。皆さんもご注意ください。

さて、展示室のなかに入ります。土曜日のお昼くらいから行ったのですが、混雑はそこそこでした。GWに入ってしまうと多分これが5割増とかになるかもしれません。わからないけど。
東博のこういう類(お寺をフィーチャーしてる感じの)の展示を見ると思うのですが、やっぱり博物館なので、美しいとか、芸術としてすばらしいとかだけではなくて、「展示対象をお客さんに勉強してもらおう」みたいな意識を感じます。今回も1~3章は資料をお勉強するゾーンです。でも、お勉強ゾーンがつまらないわけではないのです。目が慣れてくれば、だんだん面白く感じてきます。
例えば、栄西の直筆の書や関連書籍等も数多く展示されてます。この中の「正法眼蔵随聞記」とかは、実際読んでみるととても面白いらしいので、いつか読んでみたいです。
ここに建仁寺歴代の住職のお坊さんの彫刻も何体かありました。多分名のある仏師の方が彫られてるようで、造形が美しいです。ただ、どの像も一様に表情が硬いのが気になります。みんな口角が下がっているので、何か組織に不満でも?と少し思ってしまいました。
修行が厳しそうだな、とは思うのですが、僧侶を志して大きなお寺の住職までのぼりつめた人たちなので、一人ぐらい慈愛に満ちた表情の像が見たかったかもしれません。
でも多分勉強するといろいろ理由があるんだよね。仏像の様式とかいろいろ。
むしろ織田有楽斎とかのほうが、ふっくらして満足そうな肖像だな、と思います。みた感じの印象のみの話です。

第4章は、建仁寺ゆかりの名宝が多数展示されてます。ここが美術品ゾーンですね。
海北友松の作品多数、長谷川等伯曾我蕭白伊藤若沖等名だたる面子の作品が多々並んでいます。海北友松の龍の絵、よかったです。もともと襖絵だった、大きな絵は、ソファに座って低い視点から遠目に見たほうがすてきに見えます。

私が好きなのはこれらの3作品です。
1.雪梅雄鶏図 伊藤若沖 雪に鶏の真っ赤なトサカがきれいです。やっぱり画面全体のバランス的に独特なものがあると思います。
2.百寿福禄図 白隠
明るくていいです。雰囲気的にからっとしてる掛け軸です。福禄寿がいろんな「寿」の字に囲まれてます。表情もいいし、縁起よさそうな絵です。
3.風神雷神図屏風
俵屋宗達による作品。5年ぶりだそうです。イキイキしててすばらしいです。本館の総合文化展のほうには、尾形光琳による模写、出光美術館には、酒井抱一による模写の模写が展示中なので、併せて見るといいかもです。どんどん変質していくのが、伝言ゲームのようで面白いです。そしてやっぱりオリジナルが勢いがあります。

あとは奥田 頴川の焼物とかもよいです。小野 篁の大きな像も見応えあります。

そして特別展を見終えて、総合文化展を併せて見るとすごいボリュームの展示になります。得したな、という気分になれます。
前述の尾形光琳もありますし、浮世絵と衣装というテーマで北斎の版画等も多く飾られています。他にも本当にいろいろあります。日本刀も洋画も。いつもは時間の関係で省略して帰ることも多いので(もったいない)、見ることができてとてもよかったです。

本館のミュージアム・ショップも何かとても洒落た空間になってました。上野じゃないみたい。高価なものがいっぱいありました。目の保養。また今度ゆっくり見てみます。

と、ここまで書いてきて思ったのですが、東博今回の改修で六本木の国立新美術館に寄せてきてるような気が・・・。チケット売場とか、ショップとか、ちょっと似てきたような。気のせいですかね?
もしかすると、機能を追求した結果、印象が似たのかもしれないです。
そして建物の普請は多分新美よりも圧倒的によいと思うので(時代が違うし仕方ないよね・・・)、なかなかゴージャス感が出ています。
キトラも来ようと思います!