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基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

大倉集古館としばしのお別れ

3月末で休館する大倉集古館へ、とりあえずの見納めに行ってきました。


私はこの大倉集古館が大好きなのです。
コレクションした人ととてもとても趣味が合います。館蔵品がすべてとても好きです。
特に常設している騎象の普賢菩薩さまがいいです。仕舞わないで出しっぱなし(語弊がありますが)にしてくれている、大倉の中の人の鷹揚さを感じます。男気ある美術館です。創始者の大倉喜八郎さんは、山種さんと同じく立志伝中の人物です。少年時代に鰹節店に奉公にでて、いろいろな事業を興し、男爵の位までのぼりつめました。
今は、ここ集古館の入り口近くで来館者を眺めてらっしゃいます。高村光太郎の作った彫像があるのよ)

休館前ということで、館蔵品展ですが、「工芸品物語 美と技が語るもの」ということで、工芸品や能装束等がメインです。
館蔵品ということで、地味な印象を持たれるかもしれませんが、いやー、これが、かわいいんだ。This is KAWAII!疲れていたので、かわいさにとても癒されました。
私だけの話ではなく、両親に連れられてきた幼児(男子)が、はいってくるなり「かわいいね」と連呼してはしゃいでいた(すぐ飽きてぐずりだしましたが・・・)ので、たぶん間違いないと思います。

特によかったのは、喜八郎の息子である喜七郎の妻・久美子さんが蒐集した香道具です。源氏香とかの道具がきれいに保存されています。細工が凝っててどれも素晴らしいです。こんな豊かな世界があるんだなぁと思います。
久美子さんは、世が世なら本当のお姫様だったひとですが、大倉家に嫁いで大変ご苦労されたみたいです。
(この間「東京人」という雑誌で久美子さんをちょっとフィーチャーした記事があったのです。あとでちょっとレビューしますね。)
価値があるから、とか儲かるから、とか学術的な意味があるから、という動機ではなく、ただ単純に愛してるものを蒐集した、というのが伝わってきて、とても見ていて楽しいコレクションです。

あとは能の装束もかなりあります。どれもこれもとっても美しいです。能面も少しありますが、通常能面を見るときの「怖いよ」的な感じがあんまりないので、三井記念美術館とかの厳かな雰囲気の能面のコレクションとは印象が違います。

あとは大倉家で使っていた火鉢もすごくかわいいです。そして東京の地下鉄開通記念の銀製の宝石箱が飾ってあったんですが、これもすごくすてきです。
東京メトロ何周年でもいいのでいつか復刻して販売してほしいです。きっと鉄オタ以外にも売れると思います。そのときのために貯金しておこう・・・

ということで、だいぶテンションあがりました。
こちらが休館になるということは、非常に寂しいです。
ここでは、以前、日本刀の刀剣品評会みたいな催しもやっていました。刀剣は奥が深いです。日本刀というと、日本固有のもの、みたいな感じがしますが、実際は入賞者には外国の方も多いのです。その比率の高さに、何となく相撲を見ているときのような気持ちになります。
今年は日本の職人さんが全部の部門で1等をとるのを見たかったんだけど・・・
では、また会う日までさようなら。大倉さん。