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基本は美術鑑賞ブログです。「とりあえず正直に」がモットーです。忙しくても気楽にいきましょう。

特別展「仏像の姿」~微笑む・飾る・踊る~@三井記念美術館

こんにちは。仙です。皆さん台風大丈夫ですか?ご無事をお祈りいたします。私は今日は家から一歩も出ませんでした。たまにはいいよね。休みも必要だわ。

 

今回は三井記念美術館で開催中の 特別展「仏像の姿」~微笑む・飾る・踊る~です。

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この展覧会は、仏像の作者である仏師の豊かな感性と独創性、そして高度な技術に光を当て、特に仏像の「顔」「装飾」「動きとポーズ」を切り口に、多様な表現による仏像を一堂に展示して、日本人の心と創造力を様々な角度から見る、みたいな趣旨だそうです(説明は三井記念美術館公式からそのまま持ってきました)

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なかなか珍しい切り口ですよねd( ̄  ̄)。仏像は好きなほうで、かなり見たような気がするんですが、 いくつかを除いては初めて見るものが多かったです。面白かったです。

実は、このごろちょっとかなりストレスがかかることが多くて、個人的に仏像が見たいモードだったのですが、この展示を見れて満足です。

私は疲れてる時には、思い切りぶっ飛んだ造形の仏像を見たくなります。十一面観音とかはまさに私の求めているモノ。


世の中的にもそういう人が多かったのか、結構混んでいました。こういう小さめの会場でよくやるのですが、 私ははじめ混んでる時には普通に周り、閉館ギリギリまでいて残り30分っていうところでもう1回一から周り直します。 今回もそれをやったらなかなかとってもゆっくりできました。でも閉館時間になったらもちろんスッパリ退館します。 マナー違反はよくないし。 だからミュージアムショップで買いたいものがあるときはちゃんと時間を読まないと・・・!

 

日本には色々な仏像がありますね。そもそも仏像って何のためにあるのでしょうか? 個人的に思うのは、やっぱり誰にも相談できない悩みとか神仏に祈ったりするのは昔の人も同じだったと思うんですよね。その時にやっぱり何かしらのビジュアルがないとなかなかイメージがしづらいので、仏像が必要とかそういうことなんじゃないかな?と思います。 違うかもだけど・・・


でも昔の人は、たぶん一生に一体だけ菩提寺の仏像を拝むみたいなスタイルだったんじゃないかなぁ。
現代に生きてるって幸せですよね。京都や奈良に気軽に旅行だってできるし、博物館や美術館には貴重な仏像が色々出張に来てくれるし。仏像見放題( ̄▽ ̄)。

 

仏像にもよく見るといろんな種類があります。よく言うのは仏様の位が高くなるにつれて、デコラティブではなくなっていくっていうのがあります。こういうところで仏像をたくさん見ると確かにそうです。
確かに天部とか菩薩とかに比べて如来像っていうのは衣だけの簡素な美しさを纏っていますよね。如来は悟りを開いているので欲望が消えており、アクセサリーで飾る必要がないそうです。

でも菩薩像のアクセサリーがシャラシャラしてそうな衣装もとても美しいなと思いますし、天部の甲冑も 硬質な美しさをたたえています。完全には欲望を断ち切れない人間っぽさに親しみを感じると言うか。

 

そして今回、個人的によかったのは音楽に関する仏像です。
重厚な作りの一番最初の展示室には、迦陵頻伽像がありました。迦陵頻伽っていうのは極楽にいる想像上の生き物で 、上半身が人間で下半身が鳥の姿をしており、非常に美しい声を持っています。迦陵頻伽は足取りを軽やかに、フラメンコダンサーのように舞っていました。


同じ部屋に楽器を持った対の菩薩像もあって、私にはこの展覧会で一番穏やかな表情してる仏様だなと思いました。 やっぱり人間には音楽が不可欠なのかもしれません。
あと表情には眉毛ってすごく重要だなと。 長い方が圧倒的に穏やかさを感じます。この菩薩様は眉毛の長さ・角度とも完璧でした。

 

また、他のあまり聞いたことのない所蔵先や個人蔵の仏像でも今回は截金細工がとても綺麗に残っている物が多くて、とても精巧でゴージャスです。截金技法の紹介コーナーもありました。

 

最後の部屋は東京芸大とコラボして、仏像の模刻作品や修復作品、それに伴うリフォームの研究結果を展示してて面白かったです。興福寺乾闥婆の模刻もあったのですが、美しい少年が獅子の冠をかぶっているという私の中の中2の心を刺激する造形の仏様でとても良かったです。そして乾闥婆帝釈天の眷属の音楽の神様らしいです・・・。

 

ということで、私的には今回もお勧めできます。秋でいい感じの気候で外出しやすいと思うので、仏像好きな方は是非。11月25日まで三越前三井記念美術館でやってます。

次回はこれらしい。丸山応挙。そして動物・・・去年は鳥だったよね。今回は違うのかな。

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帰りは三越によってあんこ博覧会を見てきました。

www.ozmall.co.jp

たねやのどらソフト(どら焼きにソフトクリームを挟んでる)を食べたかったのですが、会期が残りわずかということで売り切れでした・・・。
代わりに成田ゆめ牧場のあんこアイスを食べてきました。 チーズオレンジを食べたのですが、とても美味しかったけどあんまりチーズ感を感じなかった。あんこって強いんだなと思いました。

 

ちょっとお知らせですが、このゾーンでいろいろ立て込んでしまったのでしばらくブログはお休みしようかと思います。 展覧会は変わらずに行くけど、記事をまとめるだけの時間が取れなそう。復活予定は10月の末です。あまりにも感動して記事を書きたくなった場合にはこの限りではないですが。

 

秋は色々展覧会があって楽しみですね。んじゃまた!!

 

京都・醍醐寺 真言密教の宇宙@サントリー美術館

こんにちは。仙です。 秋めいてきましたね。

 

さて、今回はサントリー美術館で開催中の「京都・醍醐寺 真言密教の宇宙」に行ってきましたヾ(๑╹◡╹)ノ"。

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9月19日から始まったんですが、すでになかなかの混みようです。 サントリー美術館ってあんまり混んでるところを見たことない美術館なんだけど、これは早くもかなり人がいっぱいました。私が行ったのは土曜日だったんですが、やっぱり年配の方が多かったかな・・・。でもそれなりに若い人もいました。なので、夜間開館がおすすめかどうかはよくわかりません。たまに「夜なら空いてるかな?」と期待して行ったりすると、余計混んでるじゃん!ていうことがあったりするので。 まあ行きたい時が行き時なのかな?と思います。早めのほうがいいとは思う。

 

展示はもちろんとても良かったですよ。密教面白いよね。 空海ってすごいなと思います。
仏像もとても良いです。ポスターになってる如意輪観音坐像 もよいし、 国宝の薬師如来坐像及び両脇侍像 とかもありました。まさに「美は調和に宿る」の言葉を体現したような美しさです。


快慶虚空蔵菩薩立像もありました。これも迷いがない感じの造形でいいよね
開祖である聖宝の像もありました。いいお顔なんですがちょっと 「何か隠してる?」と聞きたくなるような表情でした。 他にも 歴代門跡?の肖像がたくさんありました。表情も功績も、そこから想像できる性格も様々で、高野山ていう普遍性のある場所でも、やっぱり時代の流れから全く自由になることはできなくて、それを反映した人が色々出てきてるんだなと思います・・・。

 

そしてやっぱり昔から格の高いお寺だったので名だたる武将の書状も色々あります。織田信長の書状もなかなか端正な文字ですが、これはちょっと真筆っていう表記はないのでたぶん違うのかな?

空海の書のほうは真筆だと思いますが以前に見たことがある威風堂々とした筆跡ではなく( ̄∇ ̄)、ちょっと雑めに書いてる印象なのが「頭のすごくいい人がとってるノート」みたいな。

 

他にも良秀宇治拾遺物語に出てくる、自宅と妻子が火に焼かれるのを見て、炎の描き方を理解できたのを喜んだいう絵仏師)不動明王とかいろんな仏像や仏画、 屏風なんかを見ることができてとても楽しかったです。推せますヽ(・∀・)。

ぜひ見に行ってください。展示替えは結構こまめで8期に分かれているので見たい作品がどの日に展示されているかは公式サイトでよくよく確認してから見に行ってくださいね。会期は11月11日までです。一つだけ言えるのは、会期終了間際になると確実にものすごく混むと思うので、よく計画を立てて見に入ってください、っていうことです。


そして密教といえば修法(加持祈祷)ですが、歴代の僧侶の方々でも得意な修法は人それぞれなんだなと思いました。キャプションを読むと、9回雨を降らせたっていう人もいて、多分当時めちゃくちゃありがたいお坊さんだったんだろうねぇ。


他にもキャプションにいろんな修法の説明が出てくるのですが、 求聞持法(平たく言うととあるマントラを100日かけて100万回唱えるとあらゆる経典を記憶して忘れることがなくなると言う記憶力増進の秘法)とか昔憧れたのですが、ネットを漁ってると 意外と実際に挑戦した僧侶の方の体験談とかも出てきてネット社会すごいなと思います(´・ω・`)。
後は北斗七星を供養して病気を治す術式とか、密教の呪術って結構凄いですよね。北斗七星って言うならやっぱり道教の影響が強いのかな?
これ、西洋とかだったらたぶん錬金術とかの方面に進化してるような気がします。だから醍醐寺と関係の深い豊臣秀吉が黄金の茶室を作ったのはある意味理にかなってるのかな、と彼の金天目のお茶碗を見ながら思いました(・ω・)ノ。

 

私はこういう風に特定の寺の文化財をフィーチャーして展覧会が行われる時はいつも「集金かな?」と思ってしまいます。ゲスくてごめんなさい(´・_・`)・・・。 でも本当に大体そうなんですよね。決して責めてるんじゃないです。文化財の維持って大変だよ。
それにチケット代や図録・グッズなどの購入で積む代わりに、関東でなかなか見れない仏像や絵画がまとまって見れたりするので win-win だなと思っています。
そして今回もやっぱりそうでした。こっちのページを見てください。

www.daigoji.or.jp

詳細はよく分かりませんが、国宝「醍醐寺文書聖教」 修理修復のために新たに3年間で6600万円あまりの費用がかかるんだそうです。 そのうち4300万円については税金控除の対象となる指定寄付対象事業としての指定を受けることができました、とのことで、個人だと一口1万円、3口以上の寄進を募っているそうです。そして100万円以上寄進すると永代にわたり醍醐寺に名前が残るとのこと。3万円以上寄進すると門跡猊下の御染筆が贈呈され、各種醍醐寺での行事への案内をいただけるそうです。お金持ちのお金の使い方としてはいいと思うんですけどね。自分ちのお墓とかはいつまであるかわからないけれど、この文書は人類が続く限り永遠に未来に残るでしょうから。

 

今回は写真ないので檜町公園 の小さい川?けっこう自然あるよね。

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お高めのコラボメニュー。

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お彼岸ももうすぐ終わり。きっとすぐ寒くなるでしょうね。コートでも買うか(・ω・)。じゃまた。

 

近代日本画、もうひとつの水脈 狩野芳崖と四天王@泉屋博古館分館

こんにちは、仙です。秋ですなぁ。

 

今回は六本木の泉屋博古館分館で開催中の「近代日本画、もうひとつの水脈 狩野芳崖と四天王」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"。
こちらに関しては、ブロガー内覧会に参加させてもらったので写真を撮ってきました。ということでこれらの写真は美術館より特別に撮影の許可をいただいています

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狩野芳崖といえば、やっぱり「悲母観音」ですよね! 私は前にMIHO MUSEUMで見た川島織物セルコン作成のタピスリーが非常に出来が良かったことを思い出します。

impatiens101.hatenablog.com

その時に下絵は見たはず・・・。そして今回、ポスターにもなっているということで、もちろん悲母観音、出ます

今出てるのは模写。

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実物は後期(10月10日から)なので、 見たい方は要チェックということで。

 

こっちは寿老人。

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今回 、 テーマが狩野芳崖と四天王」ということで、狩野芳崖の作品は結構たくさん出ています。そして四天王というのは狩野芳崖の晩年の高弟四人のことです。具体的には岡倉秋水(天心の甥なんだって)、岡不崩、高屋肖哲、本多天城のことです。

基本みんな男前

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狩野芳崖河鍋暁斎なんかと同じく最後の狩野派みたいな位置づけですよね。その薫陶を受けた四天王の作品も非常に壮麗です。個人的には全部初めて見ました( ̄▽ ̄)・・・。


四天王は、狩野芳崖がなくなった後、東京美術学校の最初期の学生となったんですが、弟子としてきちんとした教育を受けていたため、カリキュラムをガンガン進んでいき、もうやることがないので中退を促され、教育者にされた人が多いんだそうです。美術教育黎明期だから講師できる人材が足りなかったんだろうね。
それで後から来た若くてまだ何も分からない 生徒たち(横山大観とか)の方がきちんとした体系的な美術教育を受けることができて、ビッグネームになったと。結構理不尽な構図。 みんな自分の思い描いた理想の画家になりたかっただろうにねぇ。でも未だに日本のいろいろなところで見る構図。最近も野球とか芸能界とかであったような。 まあ岡倉秋水みたいに学習院の教授にまでなれたらいいのかな・・・でもな。

 

作品を実際に見て、断然好きになったのは高屋肖哲。この人です。 千児観音図の下絵。(実物は関東大震災で行方不明となったのではないかということです。)美しすぎる。素晴らしいです。

 真ん中の。

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左の。

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こっちは月見観音図(左)。こっちもとても美しいです。

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武帝達磨謁見図。浅草寺にあったんだって。

左半分。

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右半分。

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個人的には四人の中でダントツにいいと思っているのですが、 彼は少々コミュニケーション能力に難があり?画壇から孤立していて非常な疎外感を感じていたらしく、業績もちょっと軽視されていたらしいです。

そして各地を放浪して制作に打ち込み、こんな感じで高野山でも絵を描いてたらしい。

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やっぱり日本社会で出世するかどうかは基本コミュ力にかかってますよね。 だからイマイチになるって話もある・・・。
でも、作者が亡くなるとどんな人格も薄れていきます

そしてこの画家も明治が始まって150年経った今、改めて評価されはじめているみたいです。よかったです。回顧展とかあったら絶対行きます。

 

あとは岡不崩。この人も教育者で永井荷風の絵の先生だったらしいです。
後半生では本草学に傾倒してた らしい。だから草花の絵が多い。こんな感じで。美しいですね。

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本草学か・・・いいですよね。 東洋の錬金術的な。これは畫手本

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朝顔の栽培法。草木の本。

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これは本多天城。雰囲気あります。

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左のは岡倉秋水。化学染料を多分使ってるのかな?独特な明るさがあります。

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橋本雅邦もけっこうありました。西行

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菱田春草とか下村観山の作品もあります。初めて知ったのですが、 朦朧体って、道教の影響があるんだってね。気功か風水でもやってた ?と反射的に思ったのは内緒です。

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そういうわけで結構おすすめです。 小さな美術館ですが、 他でなかなか見れない企画かなと思うので、是非。10月28日までの会期です。

 

ここ次は青銅器の展覧会をやるらしいです。 これはガチでおすすめ。国立の博物館よりコレクションが充実してると思う。京都の本館で見ました。

www.sen-oku.or.jp

んじゃまたね!